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一般酒類小売業免許

 
一般酒類小売業免許
 
 

街でよく見かける酒屋さんやお酒を販売しているスーパー、コンビニは、一般酒類小売業免許を取得して営業しています。
 
一般酒類小売業免許があれば、消費者や居酒屋などの接客業をしているお店にお酒を売ることができます。ただ、同じように一般酒類小売業免許を取得しているスーパーなどや酒類製造業者には販売することはできません。
 
酒類販売業者や酒類製造業者に販売する場合には、酒類卸売業免許を取得する必要があります。ただ、菓子等製造業者であれば、一般酒類小売業免許でも販売できます。菓子等製造業者とは、菓子、パン、漬物などの製造用の原料にお酒を使う業者のことです。
 
他の免許では、扱えるお酒に制限があるものが多いのですが、一般酒類小売業免許は、原則として、どのような品目のお酒を売ることができます。
 

一般酒類小売業免許の手続きの流れ

 
 

一般酒類小売業免許の手続きの流れは次のようになります。

 
 
要件を満たしているかをチェック
 

一般酒類小売業免許の取得要件を満たしているかどうかを確認します。人的要件、場所的要件、経営基礎要件、需要供給要件などをチェックします。また、免許を取得して、いよいよお酒の販売を開始することになれば、 販売場ごとに酒類販売管理者を選任しなければならないので、選任予定の方に酒類販売管理者研修を受けてもらいましょう(酒類販売管理者に選任できる者には一定の要件があります)。

 

 
申請書の作成
 

申請に必要な書類を集め、申請書を作成します。「販売場の敷地の状況」「建物等の配置図」など図面もありますが、「事業の概要」「収支の見込み」「所要資金の額及び調達方法」など事業計画的な内容の申請書の作成が求められています。

 

 
申請書の提出
 

販売する店舗のある所在地を管轄する税務署に提出します。この時点では登録免許税を納める必要はありません。

 

 
審査
 

申請書を受理された日の翌日から最長で2か月かかります。申請書や添付書類の内容確認、申請者や販売場が免許要件を満たしているかどうかが審査されます。ケースによっては、追加資料の提出や現地調査がされることもあります。

 

 
免許の付与
 

免許が付与されると申請した税務署で登録免許税として3万円を納め、酒類販売業免許通知書をもらいます。

 

 
販売業務の開始
 

免許を付与され、晴れて販売開始となりますが、酒税法の義務などを守らなければなりません。例えば、販売記帳義務や毎年の販売数量の報告義務、20歳未満への飲酒防止対策などがあります。また、販売場の移転など、免許取得後に 申請者や販売場など変更事由があった場合には、手続きをする必要があります。

 
 

 

一般酒類小売業免許の要件

 
 

一般酒類小売業免許は誰でも取得できるわけではありません。取得するには一定の要件を満たしている必要があります。ここでは、必要となる4つの要件についてみていきます。

 

●人的要件


過去に法律違反などをしていないことが要件となります。
 
1.申請者が酒類の製造免許・販売業免許、アルコール事業法の許可の取消処分を受けた場合には、取消処分を受けた日から3年が経っていること。
※ここで、アルコール事業法とは、経済産業省が管轄であり、アルコール度90度以上の工業用アルコールなどの製造・輸入・販売・使用について定めた法律のことです。
 
2.申請者が酒類の製造免許・販売免許、アルコール事業法の許可の取消処分を受けたことがある法人で、取消原因があった日以前1年以内にその法人の業務を執行する役員(取締役など)だった者については、その法人が 取消処分を受けたときから3年が経っていること。
 
3.申請者が申請前2年内に国税や地方税の滞納処分を受けていないこと。
 
4.申請者が国税や地方税についての法律に違反して、罰金刑、通告処分を受けた場合には、それぞれ、刑の執行が終わり、または執行を受けることがなくなった日またはその通告を履行した日から3年経っていること。
 
5.申請者が、未成年者飲酒禁止法、風俗営業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫、背任の罪)、暴力行為等処罰に関する法律により、罰金刑を受けたときは、 その執行が終わり、または執行を受けることが亡くなった日から3年経っていること。
 
6.申請者が禁固以上の刑を受け、その執行が終わった日または執行を受けることがなくなった日から3年が経過していること。
 
●場所的要件


正当な理由がないにもかかわらず、取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないこと。以下のようなケースです。
 
1.申請販売場が、製造場、販売場、酒場、料理店等と同一の場所であるケースはダメです。
 
2.申請販売場での営業が、販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性、販売行為など他の営業者の行う営業と、明確に区分されていないケースはダメです。例えば、他の営業者とレジなどを共同で使用するような場合です。
 
●経営基礎要件


申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていないこと、または、経営の基礎が薄弱でないこと。以下のようなケースに該当していないことです。
 
1.国税または地方税を滞納している
 
2.申請前1年前以内に銀行取引停止処分を受けている
 
3.最終事業年度の確定した決算の貸借対照表の繰越損益が資本等の額(貸借対照表の繰越利益剰余金がマイナスで、繰越損失額が資本金+資本剰余金+利益剰余金-繰越利益剰余金を超えている)を上回っている
 
4.最終事業年度以前3事業年度のすべての事業年度で資本等の額(資本金+資本剰余金+利益剰余金-繰越利益剰余金)の20%を超える額の欠損がある
 
5.酒税に関係のある法律に違反して、通告処分を受け、履行していない場合または告発されている
 
6.販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令や地方自治体の条例の規定に違反していて、店舗の除却または移転を命じられている
 
7.申請酒類小売販売場で、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれること
 
8.以上のケースに該当していないことに加え、経験などから判断し、適正に酒類の小売業を経営するのに十分な知識及び能力があると認められる者、または、これらの知識と能力がある者が組織する法人であること
 
つまり、具体的には、申請者及び申請販売場の支配人が、以下に掲げる経歴があり、酒類に関する知識、記帳能力など、酒類の小売業を経営するのに十分な知識と能力があり、独立して営業ができると認められる場合には、原則として、この要件を満たすものとしています。
 
(1).免許を受けている酒類の製造業・販売業(薬用酒だけの販売業は除く)の業務に引き続き3年以上直接従事した者、調味食品などの販売業を3年以上継続して経営している者、または、これらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者
 
ただ、上記の要件を満たさない場合でも、その他の業での経営経験と「酒類販売管理研修」を受講することで、酒類の小売業を経営するのに十分な知識や能力があるかどうかの実質的な審査をしてもらえます。
 
(2).酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者、または、酒類の製造業・販売業の経営者として直接業務に従事した者で酒類の事業及び酒類業界の実情に十分に精通していると認められる者
 
9.また、酒類を継続的に販売するために必要な資金、販売施設、設備をもっていること、または、必要な資金をもっていて免許を付与するまでに販売施設、設備をもつことが確実と認めれられること
 
●需給調整要件


酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため酒類の販売業免許をあたえることが適当であると認められる場合に該当しないこと.以下のようなケースに該当していないことです。
 
1.申請者が設立の趣旨からみて販売先が原則としてその構成員に特定されている法人や団体
 
2.酒場、旅館、料理店など酒類を扱う接客業者でないこと
 

記帳義務

 
 

免許を取得後、酒類販売者は、お酒の仕入れや販売状況を帳簿に記帳しなければならず、また、年に一度、税務署に報告書を提出する義務もあります。
 
●帳簿への記帳
 
帳簿の様式に決まりはありませんが、以下の内容を記帳する必要があります。帳簿は、販売場に備え、帳簿を閉鎖した後も5年間は保管しておかなければなりません。
 
1.仕入れに関する事項
 

酒類の品目、税率の適用区分別に、仕入数量、仕入価格、仕入年月日、仕入先の住所・氏名(名称)

 

2.販売に関する事項
 

酒類の品目、税率の適用区分別に販売数量、販売価格、販売年月日、販売先の住所・氏名(名称)

 

なお、販売先の住所・氏名(名称)は省略することができます。
 
また、以下の事項を守れば、販売数量、販売年月日を3か月を超えない期間の合計数量で一括して記帳することができます。
 
●仕入れた酒類の全部について、上記の仕入れに関する事項が全て記載された伝票を仕入先からもらい、その伝票を5年以上保存しておくこと
 
●3か月を超えない月の月中(当該月が会計年度の最終月にあたる場合はその月末)に実地棚卸を行っていること
 

申告義務

 
 

免許取得後、以下の事項について販売場などの所轄税務署長に申告を行う必要があります。
 

●毎年度報告をするもの

 
報告書報告事項申告期限
酒類の販売数量等報告書毎年度(4月1日から翌年の3月31日)の酒類の品目別販売数量の合計数量及び年度末(3月31日)の在庫数量翌年度の4月30日まで
 

●以下の事由があったときに申告などするもの


 
申告書等事由申告期限
異動申告書住所、氏名、名称、販売場の所在地・名称に異動があった場合直ちに(事由が生じたあと、すぐに)
酒類・酒母・もろみ製造・販売業 休止・開始(異動)報告書酒類販売業を休止または再開する場合遅滞な(事由が生じたあと、できる限り早く)く
酒類蔵置所 設置・廃止報告書免許を受けた販売場と異なる場所に酒類の貯蔵のための倉庫などを設ける場合やその倉庫などを廃止する場合あらかじめ
酒類の販売先等報告書税務署長から酒場・料理店などの酒類の販売先の住所、氏名、名称の報告を求められた場合別途定める日まで

※住所、氏名、名称の異動は、株式会社と持分会社(合名、合資、合同会社)間の組織変更、持分会社間の会社種類の変更を含みます。
 
※販売場の所在地の異動は、販売場を別の場所に移動することではなく、区画整理などによる地名、地番の呼称の変更のことです。販売場を別の場所に移動する際には、所轄税務署長の許可が必要になります。つまり、上記の異動申告ではないので 注意してください。

 
 

届出義務

 
 

以下の事項について販売場などの所轄税務署長に届出を行う必要があります。


 
届出書事項届出期限
酒類の詰替え届出書 表示方法届出書販売場等(酒類の製造所以外の場所)で酒類を詰め替えようとする場合詰め替えを行う2日前まで
 

酒類業組合法上の義務

 
 

酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(酒類業組合法)により、酒類小売業者には以下のような義務があります。
 
通信販売酒類小売業免許と同じような義務ですが、店舗が中心ということもあり、通信販売酒類小売業免許より内容が厳しくなっています。
 
酒類販売管理者について


酒類販売管理者は、酒類の販売業務が法令に従って行われるように酒類小売業者(事業主)に助言を従業員には指導する役割があります。
 
●酒類販売管理者の選任義務
 
酒類小売業者は、酒類の販売業務を開始するときまでに、販売場ごとに、酒類の販売業務をしている者から酒類販売管理者を選ばなくてはなりません。
 
●酒類販売管理者の届出義務
 
酒類小売業者は、酒類販売管理者を選んだとき、または、解任したときは、2週間以内に、所轄の税務署長に届けれなければなりません。
 
●酒類販売管理者に定期的に酒類販売管理者研修を受講させる義務
 
酒類小売業者は、酒類販売管理者に前回の受講から3年を超えない期間ごとに、酒類販売管理者に財務大臣が指定する団体で実施する酒類販売管理者研修を受講させる義務があります。
 
表示等の義務について


販売場などに酒類販売管理者の氏名などの標識や酒類を販売している旨のなどの表示をします。文字の大きさなども細かく決められています。
 
●標識の掲示義務
 
公衆の見やすい場所に、販売場ごとに、酒類販売管理者の氏名や酒類販売管理研修の受講年月日などを記載した標識を掲げなければなりません。
 
また、ネットやカタログ等による通信販売を行う場合も同様に、酒類販売管理者の氏名や酒類販売管理研修の受講年月日などをホームページやカタログ等の見やすい場所に表示する必要があります。
 
●20歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準の遵守
 
未成年者の飲酒防止に関する表示基準を遵守する必要があります。
 
①酒類の陳列場所における表示
 
販売場にある酒類の陳列場所の見やすいところに「酒類の売場である」または「酒類の陳列場所である」旨と「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨の表示をします。
 
この表示に使用する文字は、100ポイントの活字以上の大きさの日本文字で、陳列場所に明瞭に表示してください。
 
②酒類の自動販売機に対する表示(自動販売機を設置しているケース)
 
販売場に設置している酒類の自動販売機の前面の見やすいところに、以下の旨を明瞭に記載します。
 
また、各表示には大きさの統一のとれた日本文字でなければならず、以下の大きさとします。
 
(1) 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」
  ゴシック体で57ポイント以上
 
(2) 「免許業者(酒類の販売業者)の氏名または名称」
  20ポイント以上
 
(3) 「販売停止時間(午後11時から翌日の午前5時)」
  ゴシック体で42ポイント以上
 
③酒類の通信販売における表示
 
以下の表示物に表示例の記載等をします。表示事項は明瞭に表示し、表示に使用する文字は、10ポイントの活字 (インターネット等によるときは酒類の価格表示に使用している文字)以上の大きさの統一のとれた日本文字とすることとなっています。
 

表示物表示事項
広告やカタログ等(インターネット等によるものを含む)「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」
 
または
 
「未成年者に対しては酒類を販売しない」
申込書等の書類(インターネット等により申込みを受けるときは申込画面)申込者の年齢記載欄をもうけたうえで、その近接する場所に以下の表示
 
「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」
 
または
 
「未成年者に対しては酒類を販売しない」
納品書等の書類(インターネット等による通知を含む)「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」

 

社会的要請への適切な対応

 
 

その他、様々な社会的要請への適切な対応が求められます。
 
●未成年者の飲酒防止
 
未成年者の飲酒の防止については、未成年者飲酒禁止法において、酒類販売者や飲食店などが、未成年者がお酒を飲むことを知ってお酒を販売・提供することを禁じており、年齢確認などが必要である旨を定めています。
 
そのため、お酒の販売にあたっては、成人であることを確認したうえで販売しなければなりません。
 
未成年者がお酒を飲むことを知っていながら販売した場合には、処罰の対象となり、免許の取消要件ともなりますので気をつけてください。
 
●公正な取引の確保
 
公正な取引ルールのもとで酒類業者間の競争が行われるよう国税庁では「酒類に関する公正な取引のための指針」を定めています。
 
指針では「全ての酒類業者が自主的に尊重すべき酒類に関する公正な取引のあり方」として、以下の4つを提示しています。
 
①合理的な価格の設定
 
②取引先等の公正な取扱い
 
③公正な取引条件の設定
 
④透明かつ合理的なリベート類
 
また、同時に取引状況等実態調査の実施及び公正取引委員会との連携として、効果的な取引状況等実態調査の実施や独占禁止法違反等への対応なども提示しています。
 
以上の未成年者の飲食防止、公正な取引の確保の他、お酒の容器包装廃棄物の減少と資源の有効化のため酒類容器のリサイクルの推進も求められています。